お市
陽春3月。鶯鳴き草芽吹く西湖畔。
我 : 皇宮の牡丹がじき咲くと聞いたが。
お 市: もう少しかかりますが、そう遠くはないでしょう。
我 : 辺境が落ち着き、国家も民も安泰。朕も喜びに堪えん。
お 市: 陛下が玉体を顧みず、日夜ご苦労されたからこそ、今日大清が隆盛しているのでございます。
我 : そうだな。去年は南方が豊作だったゆえ、民は衣食満ち足りて、たんとゆとりもあることだろう。
お 市: …陛下、何か心配事でも?
≪どう言ったらいい?≫ 我 : 心配事?何と言ったらいいか…
≪考 え す ぎ だ !≫ 我 : 心配事?それは考えすぎだ。
お 市: ふだん人に余計なことはお話しになりませんもの。
我 : ふむ。普段もいいことがあれば、天下に知らせたいと思うておるのだがな。
今はこう思うておる、そなたに話せば十分だと。
お 市: なぜです?
我 : (笑って)それは、そなたこそが朕の天下だからな。
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