思思
7月、盛夏。あなたは供の者たちと避暑のために山荘へ向かっていました。
途中、山林に差し掛かると、辺りは樹々が青々とし、清々しい香りを放っています。
そこであなたは、独り気ままに散策したくなりました。
山は無言ですが、無音ではありません。
いくらも歩かないうちに滝の音が聞こえてきて、足はしだいに山奥へと向かいます。
林を抜け出る手前にひっそりとした湖があり、1人の女性が大きな岩の上に座って吟唱していました。
思 思: 【吟唱】日暮れ旧に入りて、鐘鼓久しく聞こえ琴声悠たり…
≪近づく≫ゆっくり歩み寄ると、女性が不意にこちらへ振り向きました。
≪やめる≫背を向け立ち去ろうとしたとき、女性が不意にあなたに振り向きました。
二人は互いに顔を見合わせます。気づけば女性は肌が透き通るように白く、非常にたおやかで、一目で心惹かれました。
思 思: 【優しい声で】ここは辺鄙な山の中、どうしてこんな所へ?
我 : 通りすがりに林から、天上の調べもかくやという音が聞こえてきたので、歌声を辿ってきたのです。
怪しい者ではございません
思 思: (忍び笑い)褒めすぎですわ。
(振り向いて)ただ今日は、あなたで3人目です、そう仰った男性の。
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